焼きの作業
熱した焼きゴテは、大きなラジオペンチ(手袋装着)で挟んで持つことにした。
後日「焼きゴテを挟めるような器具を下さい」と、再度ハンズに赴いた際、薦められたのだ。
さあ、あと残された工程は、「熱し」て食べ物に「押す」の2つのみ。
もうすぐ私の名前が付いた、私だけの食べ物と対面できる。憧れの焼き印。しかも私の名前ときた。
ああ、ワクワクする。
うーん。なかなか型が熱々の状態になってくれない。やっぱり直火じゃないとダメなのか、ならば、網の部分だけにしてコンロに乗せてみようか…など焼き網ごと火から下ろし、計画を練り直している時だった。
まだ熱を持っている焼きゴテを、何を考えていたのか、私が、左手で、掴んだ。しかも素手で。
そりゃ熱いさ。そりゃ火傷するさ。熱さ対策がどうとか言う以前の問題だ。バカじゃないのか。
いやぁ、こういう金属って、なかなか冷めないもんなんですね。勉強になりました。
というわけで、ここからは全ての作業をほぼ右手1本で行っております。
綺麗な金色だった真鍮の焼きゴテが、鈍い色に変わった頃を見計らって、用意しておいた玉子焼きの上に乗せた。
ジューッと音がして、さらには煙があがる。おおお。
熱すぎたのか、それとも押しつける時間が長すぎたのか。四角いブロックそのままの形が残る結果となった。
がっかりしながら、時間と温度を調節し、再度玉子焼きに押してみる。
…ああ、本格的にガッカリだ。
時間や押す強さを調節して、もっと何度も試してみたかったが、実はラジオペンチで重い焼きゴテを挟むのは、バランス的にとても難しい。残念だが、「高せ」の焼きゴテを押すのは、ここまでとしよう。
実はもう一つ、他の型も用意してあったのだ。こんなこともあろうかと、準備しておいて本当に良かった。
その型が、コチラ。
肉ではないものに「肉」と印を付けることを考えただけで、フッと頬が弛むのはどうしてだろう。
今度の焼きゴテは、前のものに比べてだいぶコンパクトに出来た。きっと気軽に挟んでポンポンと押せるに違いない。
さあ、押すぞ!