カレーと言えば茶色、というのが一般的な認識だろうし、私も子供のころから基本的に茶色いカレーを食べ続けてきた。だが、世の中には茶色でないカレーもある。
例えばタイのカレーにはグリーンやレッドといったものがあるのは有名だろう。このあたりはまだ一般的だ。
そこまではいいが、去年あたりから白いカレーというのもよく見かけるようになってきたようだ。以前の記事でライター・高瀬さんも混乱していたし、私もいまだ違和感がある。
ただ、白という特性を生かして、試せることもあるのではないか。いろいろなアレンジをしてみたレポートです。
(小野法師丸)
カレーが白いという現実をいまだしっかりと受け止められないでいる私。ならば白という色の特性を生かして、色をさまざまに変化させてみるのもよいのではないだろうか。
そうだ、7色のレインボーカレーを作ってみよう。
色を変えるといっても、しっかりとおいしいカレーは作りたい。というわけで今回は、
というルールを自分に課して、食材を買い込んできた。
まずは今回の基本色となる白いカレー。虹の色に白はないが、そこのところは大目に見て解釈してほしい。
これは基本となるルーをそのまま使えば完成。具としても色のコーディネートを目指して作っていく今回のレインボーカレー、ここでは「ブナピー」という白いシメジを使ってみた。
いざ試食、……うん、確かにカレーだ。個人的には初めて食べるホワイトカレー、見た目と味とのギャップが新鮮。
牛乳も加えて作るので、クリーミーな感じもするのが新しいところか。それでいてしっかりとカレーでもあり、とてもおいしい。具のきのこも含めてうまくいったと思う。
続いてはオレンジ。これにはニンジンをすりおろしたものを使ってみた。一般的なカレーにもよく使われるニンジンということもあって、味としても問題なさそうに思える。
では試食、……うん、これも普通にオッケーだ。
白いカレーはルー自体が割合スパイシーなのだが、それをニンジンの甘さが和らげている感じがする。色もきれいで、ニンジン嫌いの子供も食べられるような気もした。
今度はグリーン。タイのグリーンカレーの緑色の由来がなんなのかは知らないのだが、ここではバジルを使ってみた。これもカレーに合うのではないか。
…と、思って作ったのだが、作っている最中からにおいがカレーではなくなってきた。カレーとバジルの香りが闘って、どちらかというとバジルの方が勝った感じなのだ。
味としてもかなりバジル優勢。でもカレーっぽくもあり、そこにスライスしたピーマンの食感もやってくる。
おいしいことはおいしいのだが、カレーとは別物と考えた方がいいかもしれない。
色を出すのに悩んだのが紫だ。思いついた食材はナスなのだが、そのまま使ってもあまり強く色は出なさそう。
そういうわけで、今回はナスの皮をむいて、皮の方だけを具材として使ってみた。
なのだが、思っていたより紫っぽさを出すのが難しかった。煮込んでいると確かに皮から紫色がにじみ出ては来るのだが、しっかり色がついたと言うには厳しい。
というわけで、盛り付けで皮の色を見えるようにしてちょっと反則。味の方は定番の具でもあることから手堅いのだが、皮だけというへろへろとした食感が面白い感じだった。
続いては黄色。白いカレーを見慣れた色に戻すアレンジとも言えるこの色、使ったのはカレーパウダーだ。もう完成品であるはずのカレールーにカレーパウダーを投入。
できあがったカレーは見慣れた色合い。具にはレンジで加熱してやわらかくしたカボチャを添えた。
視覚的にも味的にもカレーである安心感。普通においしい。
赤い色を出すためにはトウガラシ系も思いついたのだが、辛さの強いものは苦手な私。というわけで、今回はスパイスコーナーでパプリカをチョイスしてみた。
……おお、おいしそうなのができたぞ。食べてみてもなかなかいける。
辛味が増していないので安心して食べられる。具として選んだトマトの甘さと酸味もほどよく効いていておいしい。
虹にはないが試したかったのがブラックカレー。食材にはいろいろと悩んだのだが、イカを買ってきた。墨を取り出して色をつける作戦だ。
さあ、ホワイトカレーに投入。うまくいくだろうか。
色はまずまずついた、というところだろうか。真っ黒にはならなかったが、食べ物として安心できる色合いに落ち着いたと思う。ちょっと心配なのは味の方だ。
では食べてみる……おお、うまいぞ!
変に生臭くならないか不安だったのだが、シーフードカレーの風味という範囲におさまっている。味に深みが出て、今回作った中でも一番おいしいと感じたくらいだ。
イカスミ風味のおかげで、具としたキクラゲまでシーフードの顔をしているように感じられる。予想以上にうまくいったカレーとなった。
●カレーの懐の深さを見た思い
おいしさと楽しさを目指した今回の試み。まずまずの結果が出たとも思う。
それはきっと、カレーというベースがいろいろな具材やアレンジを受け入れられるというところにもよるのだろう。どれも基本はあくまでカレー、ゆえにうまいのだ。
ホワイトカレーを使うとビジュアル的なアレンジも楽しめるので、食べさせたい相手をちょっと驚かせたいときになどにはやってみるのも面白いと思います。