お菓子の家といえば、クッキーの壁に、ウェハースの屋根。粉砂糖が雪のように振りかけられ、床はふかふかのスポンジ、だろうか。
…ああ、胸やけがする。
子どもの頃は憧れの対象だったお菓子の家だが、スタバの前を通り過ぎるだけで、その甘い匂いに辟易する私にとって、お菓子の家は拷問に近い物件だ。
でも、それがつまみの家となればどうだろう。ああ、考えただけでいくらでもウットリできる。夢だ。まさに夢の物件だ。
ってなわけで、作りました。
(高瀬 克子)
まずは土台から
お菓子には、あらかじめ四角く整形されたクッキーやウェハースといった土建素材が充実しているが、残念ながらつまみ界にそんな便利な物はない。
そこで、今回はまず建物の基本となるべき柱から立てていこうと思う。
このミニちくわを縦に重ねて柱にしようと思っていたのだが、これがうまく重なってくれない。
大事な土台がグラついていては、立派な家など望むべくもない。ここでしっかりした基礎を作っておかなくては、欠陥住宅になるのは目に見えている。
そこで、助っ人に登場願った。
補強素材をちくわの穴に通すことで、なんとか柱は完成したが、これが自力では立ってくれない。太くて立派な柱を手に入れても、立ってくれないのでは話にならん。
やはり柱を突き刺す土の代わりが必要なのかもしれない…と御飯を敷き詰めてみたものの、柱が予想以上に重く、すぐに倒れてしまう。
まさか柱を立てるだけで、ここまで苦労するとは思っていなかった。その点、お菓子はいいなぁ。チョコレートやらクリームやら接着剤になるような物がたくさんあって。つまみはダメだよ…。
弱気になりながら冷蔵庫をのぞいたとき、大根と目が合った。そしてピン!と閃いた。
予感的中である。やった! ちくわが立った!
大根にしっかり割り箸を突き刺すことで、ちくわ柱はグラつくことなく自立してくれた。これでなんとか家づくりを先に進ませることができる。良かった。
棟上げ
気が早いようだが、ここに屋根を乗せて「棟上げ」を祝おうではないか。屋根部分に関しては今回、いい素材を用意しております。自信あります。
たたみいわしは軽くて硬くてしっかりしている。これ以上、屋根に適したつまみがあるだろうか。
ところどころに空いた隙間部分は、囲炉裏から出る煙を外に放出してくれる役目を持っており、通気性も抜群。茅葺きか、たたみいわしか、という好素材である。
2枚のたたみいわしを乗せただけで、立派な屋根が完成してしまった。柱にかけた時間を思うと、あまりのあっけなさに拍子抜けすらしてしまうほどだ。