想像以上に苦戦
イカそうめんには不向きではあるが、一度やると決めたからには最後までやり遂げたい。なんたって、もうイカに肩入れしてしまったのだし。
柔らかいイカを、どうにかして薄く切り、さらにそれをそうめん状に細くしていく。
イカに拒絶されているのでは、と思うくらいに作業ははかどらなかった。細くしようとするあまり、際のところをギリギリで切るせいか、包丁にもまな板にもイカが大量にへばり付く。
ぜんぶ切り終えるのに20分以上かかった。最初に切った部分が乾燥するんじゃないのか? と危ぶんだほどである。刺身は鮮度が命なことは承知しているが、今さらそんなことを言ってもしょうがない。だって、切れないんだもの。
早く食べてしまいたかったが、今回はその前にやっておきたいことがある。
これです。
そ「…なんでぃ。おめぇ、ここまで細くされちまったのかい。こりゃあそうめんだ。うん。よくやった。よくやったよ。免許皆伝だ!」
イ「本当ですか!」
そ「ああ。だけどよ、こんなに時間をかけちゃあいけねえよ。特におめぇは刺身だろ。とてもじゃないが客には出せねぇな」
イ「ですよねぇ…」
口に入れただけで、イカを10回くらい噛んだ時の味がする。いきなりブワーッとイカの味が広がるのだ。これは本場のイカそうめんでは味わえないうまさだと思う。
しかし、そうめんに指摘されたように時間がかかってしまうのは問題だ。
そこで考えてみました。
考えなくても、頭のいい人なら最初からこうしているだろうとは思う。でも、あの切れない苦労があったからこそ、今回の凍ったイカの切れ味には感動しまくった。
もう、サクサク切れます。ものの2〜3分で出来ます。
これなら、凍ったイカさえあればいつでも出来る。切るのも簡単だし、食べてもうまい。
そうめんが褒めてくれると思っていたが、彼はとっくにどこかへ姿を消していた。根は照れ屋なのだ。今ごろ遠くで「へっ、やれば出来るじゃねぇかよ」と言いながら一杯引っかけているに違いない。(注:実際は高瀬の腹の中です)
うやむやに終了
円満に終わったように見えるが、まだ「なぜイカそうめんは太いのにそうめんを名乗っているのか」という最初の疑問が解決したわけではない。
でも細井くんは相変わらず体格がいいままだし、藪という名前の医者もいるらしいし、いくら私が「イカうどんだろう!」と主張してところで、これからもイカそうめんはイカそうめんなのだろう。
リアルなイカそうめんを食べたくなったら各自ご家庭で、というのもアリだと思う。
冷凍って便利ですね。