お寺や神社の参道につづく石段。全国には、その石段の長さをウリにする寺社も数多くあり、普段はコンビニへ歩くのさえ億劫なぼくも、一度はのぼってみたいものだと常々おもっている。 中でも山伏修行の場としても知られる山形県羽黒山の参道には、なんと2446段もの石段が続いているそうで、それだけのぼれば確かになんらかのご利益も得られるというもの。でも山形県は遠いので、簡単には行けない。 そんなわけで、自宅アパートの階段を2446段分のぼって、参拝したつもりになってみることにしました。
(text by 櫻田 智也)
本日の参道
これが今回挑戦する階段だ。
段数は16。つまり、2446÷16で、この階段を153回往復すれば羽黒山の石段をのぼっておりてきたことと同じになるのだ。
「同じになる」と、言いきってしまったところで、さっそく挑戦します。
本日の参拝者
2000段以上ものぼるとなると感覚的には登山に近い。それなりの格好でのぞむことにした。ただどうしても、「いやこれ、アパートの階段だからね」という気持ちが捨て切れないため、どこか中途半端な装備になってしまった。この油断が命取りにならねばいいのだが。
東北岩手にも春の足音が少しずつだが聞こえてきた。ものすごくいい天気。絶好の参拝日和だ。
さっそく感じる行き詰まり
絶好の参拝日和と書いたものの、今回はあまり関係ない。太陽と青空を避けるように、日のあたらない参道をのぼりはじめた。
とりあえず無心で10往復をこなした。
いきなり途方にくれる。 どうやらうっかり休んではいけないらしい。いろいろ考えてしまうからだ。なるべく休憩をはさまずに歩きつづけよう。
とりあえず杖じゃま
それにしてもしばらく歩きつづけて感じたのは、階段のあまりの殺風景さだった。 飽きる。ものすごく。 そうだった、ここは山伏たちの修験の場とうたわれる羽黒山の参道。肉体のみならず、精神鍛錬の場所でもあるのだ。