祖母を連れて行きたかった場所
詳しく聞いてみるとこういうことらしい。学校を出てすぐに仕事を見つけるため愛知県へとやってきた僕の母は、ある職場の採用試験を受けた。その際に出題された作文に「仕事が見つかりお給料をもらったら田舎の母を足摺岬へ連れて行ってやりたい」と書いたのだという。その作文のおかげか、母は見事仕事を得ることができ、その仕事を通して僕の父と出会い、僕が生まれることになる。いわば足摺岬は僕のルーツでもあるわけだ。これ、僕が行かなきゃだめなんじゃないのか。
安藤:で、お給料もらってからおばあちゃんを足摺岬に連れて行けたの?
母:それが行ってないのよ。私もそうなんだけどね、どうも年とると外に出るのがおっくうになっちゃってね、おばあちゃんも旅行に誘ってもなかなか出てきてくれないから。
作文に足摺岬と書いたのは単にそのとき頭に浮かんだ観光地の名前がこれしかなかったからだとか。母は今でも自分の母と一緒に足摺岬を見に行きたいと思っているにちがいない。
というわけで母が祖母に見せたかった足摺岬の風景を、誰か代わりに見てきてくれませんか。見てきてくれたらちゃんとプリントアウトして実家に送りますので(僕の実家にはインターネット環境がない)。よろしくお願いします。 |