品種といいうスペシャリティー
図1が、先日偶然手にしたほうれん草、まほろばである。左端に品種名が書いてある。
表記的には「北風の恵み」というキャッチコピーの方が目立っているのが、たとえばお米が「黄金色の美味 コシヒカリ」などと書いてあるのを想像すると不自然ではないかも。
まほろば かあーと思って食べると、普段のほうれん草にもなにやら感慨がある。砂丘に正座しておひたしを食べている訳の分からない様子が浮かんだ。
ちなみに価格は4かぶで70円。普段と同じ価格でこのスペシャリティーである。品種名、あなどれない。
調べてみると(検索「品種 野菜」)、ほうれん草には この まほろば の他にもたくさんの品種名があるようだ。「強力オーライ」「メガトン」「サマーライダー」「ノーベル」などと、その命名はかなり自由である。だって「コマンチ」ってなんだ。
もしかすると、知らない間にメガトンが、コマンチが、ノーベルが食卓に上がっているのかもしれないのだ。すげえ。
品種名たのしいぞ! というわけで、あらたな品種のほうれん草を求め、スーパーや八百屋を練り歩いてみた。
産地は分かるんだけど……
が、だ。例のまほろば以外、品種名が明記されているほうれん草に出会うことはついぞできなかった。店の方に聞いてみる。
「うちのほうれん草は千葉産だよ。品種? えー? ぜんぶ新ほうれん草だけどねえ」
産地まではすぐ分かるのだが、品種名まではすぐは分からないらしい。がーん。
しかたない。出荷元のJAが明記してあるものは結構あったので、それをたよりにあとで調査することにして、とりあえず八百屋、スーパー、コンビニで買うだけかってきた。千葉産が2束、群馬産が2束、茨城産が1束、5束だ。両手にいっぱいのほうれん草で帰宅。今日はなんの日だろう。
JAに電話で聞いてみた
「あのう、そちらで出荷しているほうれん草の品種をしりたいのですが……」
品種不明の5束のほうれん草に関して、JAに事情を電話してみた。電話する前は楽勝だと思ったのだが、これが結構分からないようだった。
まず、ほうれん草の担当の方がいないと話がはじまらない。JAの農産物取り扱いの部署にあっても、品種まで話が及ぶと担当者以外は分からないらしい。
担当の方が上手いことつかまっても、多品種を同時に出荷していることが多いため(特に今の時期はハウスものと露地ものがまざっているのでよけいやっかい)断定は難しい、ということだった。
結局、5品種中2品種はわからずじまい、残りの3品種も「うーんそれは、サプライズかー、アッパレ、かなあ」
「アトランタとかそんなんじゃなかったかと思いますよー」などと断定的ではない。
それにしても、冷静に聞くと会話自体が面白いことになってる。「アッパレ、かなあ」て。JAの方々も、アッパレとかアトランタ、とか言いながら実際ちょっと嬉し恥ずかしそうだった。
おぼろげながらうかびあがった品種名は以下の通りだ。 |