ビーズ大会開催
さてビーズ大会、会場はニフティ本社の会議室だ。
ルールは「2時間で好きなものをつくる」というだけ。
買って来た材料を作業マット(ビーズが転がらないフェルトのような布)の上に並べてみる。
「……うーん、何かひっかかるなあ」
「へ?」
「…何かこう……あっ、分かった!」
「な、なんですか?」
「ビーズの選び方って、普段着ている服の趣味と同じですよねえ」
「あーなるほど」
「そういや大塚さん、なんかそんな星柄の服とか着てませんでしたっけ?」
「……身に覚えありますねえ」
色の趣味というのは、人生のどのへんで形成されるんだろう、と思いながら作業開始。
「……」
「……」
職業柄、ひとりで長時間作業するのに慣れている人間ばかりなせいか、誰もあまり喋らない。
……この雰囲気は何かに似ていた。……あ、学生のときの図工の時間だ!
「あんま静かなのもナンですねえ」と林さんがCD ウォークマンにスピーカーを付けて鳴らしはじめた。
「……」
「……」
「…何スカこれ?」
「XTCの『ママー』」
「……私も高校生のとき、XTC聴きましたけど、どれがどのアルバムか、記憶の中でこんがらがっちゃってワケわからないです」
「いまの高校生って、こういうの聴くんですかね?」
「こういうのって?」
「なんか、オルタナ系と呼ばれるロックとか好きな人は必ず聴くお約束のCDってあるじゃないですか。ヴェルヴェットアンダーグラウンドとか」
「俺それ聴いてないですよ」
「林さん片寄ってますよねー、私も片寄ってますけど…」
「何聴いてんすかねえ〜」
「……」
「……」
「…ところでタカセさん、電話料金がウイルスで大量にかかっちゃったって話、どうなったんですか?」
「いや〜、私が寝てる間も出かけてる間も、勝手に電話かけて、マイクロソフトに攻撃をしかけてたらしいんですよねえ。サポートの人は親切に相談してくれたんですけど、料金の話になったら『ソレは払ってもらいます!』って言うんですよ〜。まいりましたよ」
「うわ、最悪」
「……」
「……」
「…グラタン食いたくありません?」
「はあ?」
「俺、二日酔いのときは、ポクポクしたもの食いたくなるんですよ」
「何ですか、ポクポクしたものって」
「え、ホワイトソースとかかかったものとか…」
「何かよくわからないけど、炭水化物っぽい、あったかいものですか?」
「わかんないけど」
「私は二日酔いの後はラーメンですねえ」
「私も肉汁系ですねえ。トン汁とか、喜多方ラーメンとか」
「あー」
「……」
「……」
「……これ、記事になるんですかね?」
「ウッ」 |