ゴージャスなホテルに
サイパン国際空港に降り立つと機内での厚着が嘘の様に、熱気と湿気に満ちた南国の暑さが僕たちを襲う。成田を発ってたったの3時間でこの違い。滲み出る汗とともに、サイパンに来た事を実感していく。
空港からツアーバスに乗ってホテルに向かう。
道すがら、日本人のツアーガイドがサイパンの観光案内をしている。
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サイパンの人口は約6万人。 |
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そのうち約2万人が先住民のチャモロ人。 |
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生活している日本人の数は約1200人。 |
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今は雨季だが年間の温度差が少ないため(たったの3度)、時期を間違えて南洋桜が咲く場合がある。 |
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ほら、あそこに咲いてます。そんな呑気な土地柄です。 |
多分毎回同じ事を言っているのだろう。気のない台詞回しだ。
空港から15分程でホテルに到着した。
島の中央部、ガラパン地区にあるハファダイ・ビーチホテル。3つの棟で構成されている。
「ここのタガタワーっていう、一番高級な棟の16階なんですよ」
前田君が得意気に言う。
実は今回の旅、前田君の従姉妹がサイパンでガイドをやっている関係で色々と融通をきかせてもらっている。
「この料金じゃあ、通常あり得ないらしいっすよ」
タガタワーの1階でエレベーターを待つ。間もなくドアが開き、中から水着姿の女性が出て来た。
「……」
東京のホテルでは考えられない状況に2人とも無言で立ち止まる。
水着の女性と入れ違いでエレベーターに乗りタガタワーを登った。
16階の一番端でオーシャンビュー、57平米のゴージャスなツインルームに案内された。
「うおおお、スゲエー」
前田君がはしゃぐ。
「海も一望っすよ」
カーテンを開けると、透明度の高い海が窓全面に広がった。
「とりあえず、ホテルのプールに行こうか」
前田君のテンションが下がらないうちに行動を次に移す。
2人でホテルのプールにぼんやり浮かんだ。
僕たちの他には、家族連れしかいない。
前田「いやあ、さっきまで東京にいたなんて信じられないっすよ」
住「すっかり夏に逆もどりだ」
前田「夏か……」
何かを思い出してしまったのか?
いかんいかん。取りあえず仕事の話しに話題を切り替える。
住「あの案件、スケジュール大丈夫?」
前田「ちょっと、キツイっすね」
そして、明日はマリンスポーツに挑戦する。
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