入り口の張り紙を見て運転手さんが畑へ走る。
「すいませーん、お酒譲ってくださーい」
僕の為に走ったり大声を出したりしてくれている。さっき出会ったばっかりなのに、何ていい人なんだ。
この人の車に乗ってなかったら、ポケットにウイスキーを入れる事は出来なかったし、きっと遭難する僕は助からなかった。
しばらくお店の人を探してくれたが結局見当たらず、運転手さんはビールの自動販売機を指差して言った。
「この缶チューハイ買っておきなよ。これだってアルコールだから」
言われるがままに、缶チューハイを2本買った。ポケットには入らないが、きっとないよりはマシなのだろう。
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