こんなパンツで迎える2004年
2つのリモコンを巧みに駆使しながら深まっていく大みそかの夜。
紅白歌合戦も終わり、いよいよ新年を迎えるときがきた。近所のお寺からは除夜の鐘の音が聞こえてくる。108つあると言われる人間の煩悩を払うべくして打ち鳴らされる鐘の音。
そんな中、私は煩悩そのものみたいなパンツを履いて年越しをしてしまった。
そういう部分は内に隠し、2004年を迎えたということで家族と新年のあいさつをかわす。父とそうしているところを母に写真を撮ってくれと頼む。
いぶかしがる母。「どうしてわざわざ写真なんて撮るんだい?」と聞いてくる。
たしかになんだか不審だろう。もごもごとあいまいにごまかしつつなんとかその場をしのごうとしたが、母は「なんでだい?」と繰り返し聞いてくる。
「いや、まあ、いいんだよ!!」
つい語気が荒くなってしまった。本当に申し訳ない。説明できないんだ。説明したところでわかってもらえるとは思えないんだ。
自分にだってよくわからないことを人に説明できるわけがない。今は黙ってシャッターを押してくれ。
実家では年越しを迎えた深夜、そのまま近くの小さな神社に初詣をしに行くことになっている。ここでも着替えることなく、ファンタジーなパンツのままでお参りだ。
「こんなパンツ履いてる私ですが、今年もよい年になりますように…」
ちょっとだけ言い訳をしつつおごそかに参拝。神様もきっと変なやつが来たと思っているだろうが、そういう部分で差別したりはしないでほしい。
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