学生の頃、ガテン系のアルバイトをしていた事がある。日が暮れて仕事が終わると、プレハブ小屋の待機室で毎晩の様に宴が開かれていた。そこでは、ビールとか焼酎とか日本酒とか、どんな飲み物も全部湯のみ茶碗で飲んでいた。僕も湯呑み茶碗にビールを注がれ、何とも言えない違和感を覚えつつ酔っぱらったものだった。 グラスって大事だよな、とその時は思ったが本当にそうだろうか?固定観念にとらわれているだけなんじゃないか?
本来は飲食の目的で作られていない器で飲み食いしてみたらどうだろう? という訳で、実験器具を調達しに東急ハンズへ行った。
(text by 住正徳)
とりあえずビール
東急ハンズには「実験器具」というコーナーがあって、そこにはビーカー、フラスコ、試験管……、と理科室で見たものたちがずらりと並んでいる。 「うおー、凄え」 思わず感嘆の言葉が口をつく。 あれも欲しい、これも欲しい。あっという間に買物カゴが実験器具でうまっていく。レジでは1つ1つ割れない様にプチプチで包んでくれたので、僕の後ろには行列が出来てしまった。
袋一杯の実験器具を事務所に持ち帰り早速晩酌の準備を整える。 最初はとりあえずビール。ト−ルビーカー(200ml)にビールを注ぐ。
おかわりは三角フラスコ(200ml)で。
三角フラスコは口が狭くて飲みづらいが、感覚としてはビール瓶をラッパ飲みしているのに近い。それに比べ口の広いト−ルビーカーの方がお上品な印象を覚えた。 そして、どちらのグラスも飲んだ量を正確に把握できるという利点がある。
おつまみは僕の大好きな板ワサ。ペトリ皿に盛り付けた。 ミニスポイトで醤油を垂らしてお召し上がりください。
ビールで喉が潤ったところで、今度はカクテルをいただきましょう。