まずはお手本を
吉澤さんの肩ならしが終わり、早速、課題曲の「ねこふんじゃった」にドラム演奏をつけてもらうことに。
僕のピアノに即興でドラムを合わせてくれたのだが、ドラムにつられない様にピアノを弾くのに精一杯で、ちゃんとドラムを見れなかった。
ビデオをプレイバックして吉澤さんの演奏を確認する。
こんなの出来る気がしない。無謀な挑戦だった事を改めて思い知らされる。
「いや、大丈夫ですよ。ゆっくりとやって行きましょう」
吉澤さんに励まされ、いよいよドラムセットの前に腰掛ける。目の前に並ぶいろんな太鼓とシンバル。それぞれ役割があるのだろうが、生まれて初めてドラムセットの前に座った僕にはその違いが分からない。
スネア、バスドラム、ハイハット……。それぞれの名称について説明を受けるが、ほとんど頭に入ってこない。
なるべく少ない手数で格好良く見える方法をお願いします。
3つのステップでドラムを習う
吉澤さんはこの日の為に、ドラム習得のカリキュラムを考えてきてくれていた。
ステップ1:基本の8ビートをやってみよう。
ステップ2:1拍目にクラッシュを入れよう。
ステップ3:右側も使っておかずを混ぜろ。
まずはステップ1、8ビートを刻む練習だ。
ハイハット(左側手前にあるシンバル)を右手でツツツツと4回叩きつつ、3回目のツの時に左手でスネア(左側手前にある太鼓)を叩く。
頭の中で「ツツタット」と言いながらこのリズムを覚えていく。ツツタット、ツツタット。
「だいぶいいですね。もう半分出来ましたよ」
僕のツツタットが褒められた。しかも、既に半分まで来てるという。
「じゃあ、次はそれに右足を加えましょう」
ツツタットのうちに2回、右足でバスドラ(真ん中にある大きな太鼓)を鳴らさないといけない。褒められた後につきつけられる難題。
ちょ、ちょっと、足がつりそうです……。
ステップ1から暗雲が立ち込める。 |